2017年2月
2月27日 セ リ
一か月も前から気になっていたセリなのだが、ようやく姿を現した。
云わずと知れた春の七草の一番目に詠われている。
ここは乾地。
本来湿地性なのだから、かつては湿っぽかったのかもしれない。
よくも生息続けているものだと感心している。
旧暦1月7日(今年は新暦2月3日)には、残念ながら出ていなかった。
今日は旧暦の2月2日。
遊水地では、絶滅危惧種のエキサイゼリはどこにでもあるが、普通のセリは珍しい。
ドクゼりもあるのだろうが、散歩人は見ていない。
和名は芹。セリ科の多年草。夏にはしろい花が咲く。
2月25日 ヨシ刈り
ヨシ原を覗くとヨシ刈り。ここで刈り取られているのはオギ。
茅葺屋根の材として利用される。
ヨシと比べると不格好だが強靭で耐久性に優れている。
渡良瀬遊水地では昔からヨシが刈り取られてきた。ヨシはオギと共に茅葺や葦簀の材として使われてきたが、
最近では田の暗渠用に使われることが多いようだ。
水はけの悪い田に、素焼きの土管と共に埋め込まれるのだと云う。
噴き上げ
谷中湖東橋から覗くと、浅くなった水面に小さな噴き上げが見られる。
干し上げが進んだこの時期にしか見られない
極端な言い方からすれば、遊水地は水に浮いているようなもの。
地下には莫大な水を蓄えている。この噴き上げはそのことの証明なのだ。
半世紀以上前のことだが、散歩人の育った村には、
富士山の伏流水が湧き出る柿田川のような透明度の高い湧水の沼がいくつかあった。
今は新三国橋の橋桁の下になった通称「牛沼」は特に透明度が高く、
沼底が何の濁りもなく見通せた様子はまだ瞼にある。
子どもたちの間では「ここで泳いではならない」と云い伝えられてきた。
浅い沼だが沼の中央には冷たい水が噴き出していて、心臓麻痺を起こすというのだ。
通った小学校には校舎の真ん中に滔滔と湧き出る「堀貫井戸」があったし、
学校の近くの農協倉庫にも「堀貫井戸」があった。
この地方は、水に痛めつけられ続けたが、水の大きな恩恵も受けてきた水郷地帯なのだ。
2月18日 干し上げ
(北橋から谷中ブロック)
谷中湖の減水は1月の7日ごろから始まったのだが、この頃は湖底がむき出しになってきた。
例年、この状態は3月まで続く。
地内水路
一方地内水路は、溢れんばかりの満水が続いている。
2月に入って増水して今日も満水状態だ。
実は、散歩人にとってはたいへん困っている。
キタミソウ
キタミソウは、北海道の北見地方で発見されたので、和名は北見草。ゴマノハグサ科。
貴重種;絶滅危惧II 類(VU)
渡良瀬遊水地の池内水路は、例年11月第2週ごろに水位が下がって谷中橋周辺の底が露出する。
露出した川底でキタミソウが発見されたのは20011年5月。
ここのキタミソウは、例年3月に発芽して、
5月連休後に水位が上がって水没するまでの2か月ほどの期間に見られるものと認識していたのだが!
昨冬水位が下がって露出した川底に入ると、立派なキタミソウが散見で来た。
既に花も付けていたのだ。
渡良瀬遊水地のキタミソウは越年草かと思ったのだが、
ところが・・・、
3月1日、大きな株になっているだろうと久しぶりに自生地に入ると、
予想した大きな個体は見渡らない。
この頃に発芽したと思われるものは散見で来たのだが、
期待した大きな個体はなかった。
どのような経過だったのかは、俄か観察者には分からなかったので、
今冬はつぶさに観察することにした。
池内水路(旧谷中橋(廃橋)の南の川底)
今冬は旧谷中橋(廃橋)周辺のキタミソウを観察した。
以下は観察記録。
11月16日には見当たらなかったが、12月に入ると小さい個体が散見できた。
迂闊にも、現地では分からなかったがPCで画像を拡大すると、
根が浮き上がっているものがある(右)。
12月30日には成長した個体が生々しく浮き上がっている個体も目視できた。
寒さが続いた1月に入って見ると・・・、さらに生々しい。
鈍感な散歩人でも、霜柱や氷で浮き上がってしまったのだと分かった。
だが、新しい芽も続々と生えてきている。
旧谷中橋直下は霜柱の被害が少ないようで、無事に花も付けている個体もある(右)が、
ここでも大きくなったものが浮き上がっていた(左)。
2月にさらに観察を続けようとしたのだが・・・。
池内水路の水位が上がってこの場所も水没し、無念な結果になってしまった。
推測すると、谷中橋上流側の自生地も同様だろう。
初冬や真冬に発芽しても、このような経過をたどっていると思われる。
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池内水路の水路がいつ下がるか分からないが、既に20日以上も水中にあるので、
根が浮いた個体は流れてしまっただろうし、根付いていた個体も長期間水中にあっては耐えられないだろう。
と、俄観察者の推測している。
いづれにしても、さらに観察を続ける価値はある。