2018年5月
5月30日 シロバナタカアザミ
良く伸びたヨシの林から頭を突き出しているのはシロバナタカアザミ。
和名は白花高薊。キク科の2年草。花は垂れ下がって咲く。
測ると3mを超えている。
美しいとは言い難い花だが存在感は抜群だ!
いろいろ調べてみると・・・、よく分からない。
タカアザミの変種ともあるが、タカアザミの花期は秋で、シロバナタカアザミは5~6月。2ヵ月ほどずれている。
手持ちの図鑑にはタカアザミ(高薊)は載っているが、シロバナタカアザミはない。
稀にではあるが、この時季にタカアザミのように赤花が咲くものもある。
季節を外して咲くタカアザミなのか、シロバナタカアザミの赤花なのか?
まだ茎が立ち上がっていないのは間違いなくタカアザミだろう。
タカアザミはこれから茎を伸ばして9月には咲く。
5月26日 タチスミレ
花の盛りのタチスミレ自生地は、2014年天皇皇后両陛下が訪れた際、
皇后陛下がタチスミレについてお訊ねになった場所からは約700m北西に位置する。
雨の少なかった日が続いたが、最も高い花を図ると草丈は約44cm。
(拡大)
花はいじらしいほど小さく美しい。
和名は立ち菫。スミレ科の多年草。貴重種:絶滅危惧 II 類(VU)
5月22日 メドハギ
道端のメドハギ。
伝統工芸の江戸簾、京簾などの業界では、ハギと称して高価な高級な簾を作る。
ゴギョウよりも更に高価な最上級品のようだ。
ヒメヨモギと同様に、ヨシ原の中でひょろっと伸びた細い茎を用いる。
古くは筮竹に使われたこともあることから筮萩。マメ科の多年草。
コガネムシ
近寄るとコガネムシ(黄金虫)が張り付いている。
コガネムシはコガネムシ科で食葉性の昆虫。
エナメル塗りのピッカピッカで、いかにも小金持ちの面目!
5月21日 ヒメヨモギ
道端のヒメヨモギ(姫蓬)が元気がいい。
ヨシ原の中でひょろっと伸びた細い茎はすだれの材となる。
伝統工芸の江戸簾、京簾などの業界では、
ヒメヨモギはゴギョウと称して高級な簾を作る。
テントウムシ
ヒメヨモギの葉にテントウムシ。近寄って見ると黒地に2つの赤い紋。
いくつか見ていくと、2つの赤い紋に加えて2つの小さな赤い紋のあるものも(写真中央)。
幼虫も一匹。
コキツネノボタン
道端のコキツネノボタンに実(集合果)がいっぱいついた。
ケキツネノボタンの実は球形だが、コキツネノボタンの実は長球形をしている。
散歩人の子どものころには金平糖と呼んでいた。
キツネが牡丹に化けようとして葉の形は牡丹に似たが、残念ながら似たのはそこまでと云うことで、
和名は小狐牡丹。キンポウゲ科の多年生植物。
貴重種;絶滅危惧Ⅱ類(VU)
5月16日 クワキジラミ
実が色付き始めた桑の木を見上げるとクワキジラミ(桑木虱)。
この白いものの正体は幼虫の尻から分泌された細長い糸状の蝋物質。
一昨年(2016年)にも大発生して桑の実を採る人たちを気持ち悪くさせたのだが、
今年も大発生の予感!
クワキジラミの幼虫は桑の汁液を吸収する大害虫と云う。
それにしても、あまり気持ち良いものではない。
5月14日 コアジサシ
谷中湖の上空を低く飛ぶ白い鳥影はコアジサシ(小鯵刺)。
獲物を見つけると一瞬ホバーリングして垂直に湖面に突き下りる。
その姿を写真に収められたらと思うのだが、その姿をとらえることは至難の業!
散歩人にはちと無理なようだ。
カモメ科の夏鳥。
貴重種;絶滅危惧II 類(VU) 種の保存法基づく国際希少野生動植物種
5月12日 ミゾコウジュ
下宮橋の縁石。
吹き溜まった僅かな土の上にミゾコウジュ。
小さな花だが近寄って見ると存在感のある姿をしている。
漢方薬の
遊水池ではこんなところにもある。
シソ科の越年草。 貴重種:準絶滅危惧(NT)
5月6日 キタミソウ
池内水路のキタミソウは2011年に発見された。
池内水路は11月初旬に水位が下がって、川底の一部が露出する。
キタミソウはその川底に芽を出す。
川底が露出後11月下旬ごろから発芽するのだが・・・、
小さな個体は厳冬期に霜柱によって持ち上げられてほとんどが枯れてしまう。
春に芽を出す個体は順調に育ってこんなふうになる。
しかし、例年5月連休明けごろ(昨年は6月初め)に池内水路の水位が上がって水没してしまう。
確かめることはできないが、水中で枯死すると思われる。
北海道の北見地方で発見されたので、和名は北見草。ゴマノハグサ科。
貴重種;絶滅危惧II 類(VU)
キタミソウの中に大きな葉を見せているのはオオアブノメ。
和名は大虻の目。ゴマノハグサ科の一年草。
貴重種;絶滅危惧II 類(VU)
フウセンモ
腰をかがめ舐めるように探してようやく見つかるのはフウセンモ。
フウセンモ(風船藻)はフシナシミドロ目フウセンモ科フウセンモ属の藻類。
肥沃で湿り気があり日当たりのよい地上に現れる。
5月5日 オオヨシキリ
ヨシ原の道を歩くと、思いもよらない近くで野鳥に出会えることがある。
史跡ゾーンのほぼ真ん中。ヨシ焼きの猛火で幹が煽られて瀕死の桑の木の細い枝にヨシキリ!
口の中が赤いのでオオヨシキリ(大葦切)と思われる。ウグイス科の夏鳥。
5月4日 トネハナヤスリ
ヨシ原の中のトネハナヤスリ。
胞子葉が精一杯延びて白い胞子を蓄えている。
既に胞子を飛散させて名前の由来の如くヤスリ状になっているものもある。
胞子を放出すれば役割が終わって、地上部は6月ごろに枯れて来春まで休眠してしまう。
小型のシダ植物でハナヤスリ科の多年草。和名は利根花鑢。
自生地は淀川水系と利根川の河川敷のようだ。
かつては1Aランクであったが、渡良瀬遊水地にぎょうさんあるのでランクが下げられたとも云われている。
貴重種;絶滅危惧Ⅱ類
5月1日 カジノキ
野渡橋から見ると、川岸にカジノキ。
カジノキ(梶の木)は雌雄異株のクワ科の落葉高木。
この写真の数本は雄株のようだ。
遊水池では河川敷や谷中ブロック周回路脇に多数見られる。
雄 花
雌 花
雌花は糸状の花柱をつける。
8月ごろには甘い衣をつけた種子が飛び出てくる。
神道では神聖な木とされ葉が諏訪神社の伸紋にも描かれていると云う。
カジノキの皮からは強靭な和紙が作られる。
カジノキで漉かれた紙の衣(紙子)は、今でも東大寺二月堂のお水取りの際では僧衣として用いられる。
お水取りで使われる紙子はかつては宮城県の白石和紙であったが、
白石和紙が絶えてしまったので、現在は福井県の越前和紙に継がれているようだ。
ヒメコウゾ
6月ごろ小さな実が熟すのはヒメコウゾ(姫楮)。
ヒメコウゾは雌雄同株。白く見えるのが雄花で雌花はカジノキの雌花と同じく糸状の花柱をつける。
和紙に用いられるコウゾはカジノキとヒメコウゾの雑種だと云う。クワ科の落葉低木。
遊水池では谷中ブロック周回路脇の林や思川東岸の傾斜林などで見られる。