2021年7月
7月28日 カラムシ
谷中湖周回路脇の草むらに苧麻の小さい群落がある。
葉の下を覗くと茎から花房が見える。
カラムシはイラクサ科の多年草。
茎の皮から採る繊維は古くから織物の材料や和紙、漁網などに利用されてきた。
戦国武将・上杉謙信、 江戸時代には米沢藩や薩摩藩などでも藩の収入源の一つとしてカラムシの栽培、織物を奨励したと云う。
会津地方で栽培されたカラムシを原料とした「小千谷縮・越後上布」は国の重要無形文化財に指定されている。
また、沖縄・宮古島では「宮古上布」が現在も作られている。
何の変哲まないいわゆる雑草だが・・・、大したものなのだ!
7月23日 マツバラン
渡良瀬遊水地では2012年に発見された松葉蘭。
ラン科ではなくマツバラン科のシダ植物。貴重種;準絶滅危惧(NT)
茎が松の葉のように見えるところから名が付いたがその姿から箒蘭の別名もある。
マツバラン科では日本唯一の種だと云う。
地上部は茎だけで葉はなく、地下部には地下茎(仮根)があり根はない。
地下茎に菌類が付き、この菌類と共生しているのだと云う。
2~3年前には遊水地内のゴルフ場でも見つかったと聞いている。
ウワミズザクラ
見上げると上溝桜の実が熟している。
ウワミズザクラはバラ科の落葉高木。古代に占いに使われたことによって名付けられたと云う。
渡良瀬遊水地では昔から残っているヨシ原の中の林や思川東岸の傾斜林で見られる。
この実は野鳥の好物で、英名は Japanese bird cherry だが、
若い実を塩漬けにして杏仁子(あんにんご)、熟した実を果実酒にしたりと人間様も食べている。
木は堅く漆器の木地や印材などにも利用されるようだ。
7月17日 クビアカツヤカミキリ
谷中湖北ブロックと谷田川の間に植栽されているソメイヨシノの太い幹に首赤艶天牛。
少しだがフラスもあり小さな穴が一つ空いている。
この穴から出てきたのだろうか。無傷の姿は生まれたてのようにも見える。
昨年8月、この木に大量のフラスが出ていたので関係機関に知らせたので、駆除されたと思っていたのだが生き残っていたのだろうか。
クビアカツヤカミキリは中国や朝鮮半島などに分布する昆虫で、日本では2012年に初めて発見されたと云う。
サクラやモモの木を食害する害虫で、日本では2018年に特定外来生物に指定されている。
7月13日 ホソバオグルマ
遊水地では特に珍しいというわけではないがこれも貴重種。細葉尾車が花を咲かせた。
キク科の多年草。貴重種;絶滅危惧II 類(VU)
花にカメムシが乗っている。
調べるとガガイモ科の植物につく姫十字長亀虫のようだ。
確かに・・・。
コバノカモメヅル
近くのホソバオグルマの茎に小葉の鴎蔓が巻き付いている。
コバノカモメヅルはガガイモ科カモメヅル属の多年草。
7月11日 クルマバザクロソウ
アスファルトの割れ目に車葉柘榴草。
葉がザクロに似て、葉が輪状にあるので名付けられたようだ。
花弁に見えるのは萼片だと云う。
ザクロソウ科の一年草。熱帯アメリカ原産の帰化植物。
7月10日 ニガクサ
木陰に咲くのは苦草。シソ科の多年草。
葉を噛むと苦いからニガクサだと云うが、葉には虫に食われた穴が多数ある。
イヌゴマ
種子がゴマに似ているも食用にならず役に立たないから犬胡麻。
ヨシ原の道を行くと群落をよく見かける。特に珍しくもないが、花を覗くと可愛らしい。
地下茎で増える。シソ科の多年草。
7月6日 ハンゲショウ(?)
半分白くなっているがハンゲショウではなく、カジノキの斑入りの葉。
突然変異によるものだろう。
カジノキはクワ科の落葉高木で樹皮の繊維が和紙になる。
諏訪大社はカジノキの葉を神紋としている。
クサフジ
谷中湖周回路脇の草むらに草藤。
クサフジは5月の末ごろから花が見られるが、この群落は最近咲きだした。
マメ科の多年草。
コガネグモ
ど派手なでかい蜘蛛は黄金蜘蛛。
毒は無いようだが近づき難い様相をしている。クモ目コガネグモ科。
鹿児島県姶良市加治木町の蜘蛛合戦ではこの蜘蛛も使われるようだ。
7月1日 ハンゲショウ
7月に入って雨が続き、昨日の(雑節)半夏生もいわゆる「半夏雨」。
梅雨の末期の「半夏雨」は大雨となり出水など災いを起こすという言い伝えがあると云う。
東海地方の昨日からの豪雨により、今日午後、箱根で大規模な土石流が発生した。
ヨシ原を覗くと純白に染まった半夏生が見える。
ハンゲショウはドクダミ科の多年草。この季節に染まるので名が付いた言われているが諸説あるようだ。
葉の染まり方から別名に半化粧、片白草もある。
漢方に「半夏」があるが、これはカラスビシャクのこと。
カラスビシャク
我が家の入り口近くのブロック塀に添うように烏柄杓がある。
カラスビシャクはサトイモ科ハンゲ属の多年草。毒草。役に立たない柄杓だから烏の名が付けられた。
マイヅルテンナンショウのように仏炎苞があり、この中に実を付ける。
芋(根茎)を掘りきれいに洗うと・・・。
この根茎を乾燥させたものは、半夏として漢方薬となる。
嘔吐止め、咳止め、解熱、脚気、腎臓炎などの薬効がとされる。
昔、薬屋に根茎を売って小銭を貯めたということから「へそくり」の異名もあると云う。
※ 手持ちの歳時記には、このころカラスビシャクが毒を生じるので半夏生の名が生まれたとある。