良瀬遊水地トroトロ散歩
2023年4月
4月29日 ヌマアゼスゲ
ヨシ原の中の沼畦菅。
左上の茶色い頂小穂が雄花で下の方に雌の小穂がある。
雌の小穂の白い雌しべ(右)は既になく、組紐ので作ったような模様が現れている。
ヌマアゼスゲはカヤツリグサ科の多年草。貴重種:絶滅危惧 II 類(VU
このヌマアゼスゲがヨシ原の中に普通にある。
渡良瀬遊水地には近縁種のアゼスゲは何故かほとんどないのだと云う。
4月28日 ノイバラ
谷中湖周回路わきの草むらに野茨。いわゆる野薔薇。
町中の通りに面した垣根などにあれば、道行く人から「今年もよく咲きましたね」などと褒められるのだろうが、
ここでは振り返る人も少ない残念な植物だ。
ノイバラはバラ科の落葉蔓性低木。
枝先に房状の蕾を付けて下の蕾から徐々に花を咲かせる。
コガモ
何かに驚いて、小鴨が飛び立った。(左上にはヒドリガモ)
この4月は夏日も多く、明日も暑くなる予報が出ている。早く帰ったが良いと思うのだが。
コガモは渡来が早く渡去も遅い。
4月27日 オヘビイチゴ
子ども広場が黄色い絨毯のようになった。
草刈り機で刈り取られた後に再生した雄蛇苺が一斉に花を咲かせたのだ。
(大きい黄色い花はオオジシバリ。小さな紫はサギゴケ)
ヘビイチゴより大きいことから雄が付いたという。
ヘビイチゴの実は膨らんで赤くなるがオヘビイチゴは地味な実を付ける。
4月23日 ノスリ
ヨシ原の上空を鵟が旋回した。
羽が傷んでいるように見える。カラスか何かに襲われたのだろうか。
ノスリはタカ科ノスリ属。全国的には留鳥だが渡良瀬遊水地では冬鳥だと云う。
4月21日 マイヅルテンナンショウ
ヨシ原の中に細葉タイプの舞鶴天南星が持ち上がってきた。
遊水地にある普通のマイヅルテンナンショウと比べると一目瞭然!葉が細いのだ。
マイヅルテンナンショウの葉は1枚で鳥足状に小葉を付けるが、その小葉が細い。明らかに細い。
散歩人が知る限りではこのあたり半径100m程の範囲にだけ点在する。
右の芽は大きくなって仏炎苞の中に雄花、真ん中の芽が親分で雄花と雌花を付けるだろう。
雌雄同花だが成熟した個体だけが雌花を付ける。
サトイモ科の多年草。有毒。貴重種:絶滅危惧 II 類(VU
4月20日 トネハナヤスリ
遊水地ではどこにでもある利根花鑢だが自生地は利根川水系と淀川ヨシ原だけだと云う。
この春は温度が高く適度に降雨もあったからか、棒ヤスリのような胞子葉がよく伸びている。
若芽を食むとかすかな甘みがある。
(ハナムグラが多数、左下にワタラセツリフネソウも写っている)
ハナヤスリ科のシダ植物。貴重種;絶滅危惧Ⅱ類(VU)
10数年前、ヨシ原で小さな植物を見ていると、カメラを下げた人が近づいてきた。
「トネハナヤスリという珍しい植物があると聞いたのですが、このあたりにあるのでしょうか」
「あなたの足が踏んづけているのがそうです」
※ 嘘のような本当の話です。
エキサイゼリ
ヨシ原の益斎芹が宝石のような小さな花を咲かせた。
名前は、富山藩主・前田益斎
この季節、遊水地では何処でも見られる。
アズマツメクサ
まだまだ小さい東爪草。
まわりのヨシが背丈よりも高くなったころ花を咲かせる。
ベンケイソウ科の一年草。貴重種;準絶滅危惧種
4月18日 ハルジョオン
今日の毎日新聞と埼玉新聞の二つの新聞の一面コラムには、牧野富三郎博士の「雑草という草はない」という言葉が載っていた。
春紫苑も立派な「いわゆる雑草」。アメリカ原産の帰化植物。キク科の多年草。
嫌われ者だが、上から見るとかくも美しい。
渡辺さんが病院に来る途中、道端に咲いていたからとハルジョオンをとってきてくれた。
白い細い花びらは黒い線で、一本一本たんねんに描いていくと花びらの白さが浮き上がり、
小さな花が向日葵のように大きくみえた。花は全部上向きで咲いているのに、
蕾はしおれてしまったのだろうか、力なく下を向いていた。
元気だったように上を向かせて描いてやろうかと思ったが、想い直して下向きのまま描いた。
描きあがった絵は、小さいけれど私が手で描いたころの絵よりも力強く いきいきとしているようで、
うれしくなり、花のまわりに文を書いて友だちに送った。つづいて、母子草、あやめ・・・。
スケッチブックには文字のほかに小さな花も増えていった。 「愛、深き淵より。」
詩画作家の星野富弘さんが、頸椎に障害を負い首から下の自由を失ったのは1970年(昭和45年)6月。
入院中のベットの上で、口に筆を咥えて絵を描き始めたのは1972年(昭和48年)5月。
最初の絵がハルジョオンだと知ると、この花が愛おしくなる。
4月13日 黄 砂
黄砂の影響で谷中湖から見る古河のビル群がかすんでいる。
報道によると・・・。
「東京での黄砂観測は2年ぶり、4月としては16ぶり」
タチスミレ
ヨシ原の中にまだ小さい立菫。
地上茎が見えているので間違いない。
この地上茎が伸びて立ち上がってくるので立菫。条件によっては1m程にもなる。
5月中ごろには可愛い花を咲かせるだろう。
スミレ科の多年草。貴重種;絶滅危惧Ⅱ類
4月12日 キレンジャク
谷中湖の中の島付近のカロニナポプラなどに飛び回っているヒレンジャク。
3月11日以後毎日見かけるが黄色い尾っぽは見かけなかった。
昨日「黄連雀も来ている」と聞いたが、昨日は見かけることなく残念な思いをしたのだが・・・。
今朝は、ようやく出会えた!
スズメ目レンジャク科の冬鳥。
4月10日 チョウゲンボウ
ヨシ原の道を行くと、キジバトより大きいなと思って車から降りてカメラを構えた。
枯れ枝にちょこんと摑まっているのは長元坊のオスのようだ。
キジバトよりもやや大きい程度の体だがさすがに猛禽類。
眼玉が大きく飛ぶ姿は猛々しい。
鷹狩に用いられることもあると云う。ハヤブサ科の留鳥。
4月5日 青春のボート
谷中湖からカモたちが消えて、新たな水上の生物はボートの練習に励む高校生。
この子たちにとっては青春のボート・・・! だろうな。
うらやましい限りだ。
上空の点々は汚れではなく虫。
蚊 柱
(※PCで強調加工しています)
道の彼方に煙のように見えるのは羽虫の群で蚊柱と言う。
ユスリカ
このところ、遊水地を行くと小さな羽虫がまとわりつく。
遊水地の道を車を走らせるとフロントガラスに羽虫が衝突して汚す。
蚊柱の虫もガラスに衝突する虫もユスリカらしい。
ユスリカの幼虫は水中で育ち羽化して飛び立つ。
蚊柱を作っているのはほとんどがオスで、メスはこの中に突入して交尾するようだ。
「蚊柱」というが、蚊ではなく蠅の仲間。
上の写真はオス。口器は退化してないのでエサを食べることができず数日の命だと云う。
4月3日 土手の植物
除草が始まる前にだけ出会える土手の植物。
フジバカマ
10数年前、藤袴はロープが張られて守られていた。
夏には見事な花を咲かせたのだが、その後は自然(度々の除草)に任されて花を咲かせない。
どっこい!生き延びている!
キク科の多年草。貴重種;準絶滅危惧
フデリンドウ
何とも可愛らしい花を咲かせているのは筆竜胆。
蕾が筆の穂先に似ているのでこの名が付いたと云う。回りの植物が成長すると隠れてしまう。
春咲きのリンドウ科の2年草。
花の色はいろいろあるのだが、最近は青色しか見ていない。
ジロボウエンゴサク
何とも頼りない風情で花を咲かせている次郎坊延胡索。
ケシ科キケマン属の多年草。有毒。
ニオイタチツボスミレ
匂うから匂立坪菫なのだが・・・、散歩人の劣化した嗅覚ではっきりとは確かめられない。
スミレ科の多年草。
4月1日 ノウルシ
ヨシ原ののうるし野漆が黄色く色付いた。
てっぺんが五つに分かれてその先に・・・。
複雑な構造の花が付く。
調べたらこうなったのだが、俄か観察者にはよく分からない。
ノウルシはトウダイグサ科の多年草。貴重種;準絶滅危惧
子どものころ、遊び場だった渡良瀬川の河原に大きな群落があって、そこを駆け回ると折れた茎から出た白い液体が出てくる。
子どもたちは、『乳草』と呼んで気味悪がった。
漆のような白乳液は有毒でそれが名の由来なのだが、子どものころにこれにかぶれたことはなかった。
シロツメクサ(斑入り)
道端に斑入りの白詰草。
シロツメクサはヨーロッパ原産の帰化植物。マメ科。別名にクローバー。
昔、ヨーロッパから輸入するガラス器などを守るために乾燥したこの草を器の周りに詰めて、
緩衝材として使ったことからこの名が付いた。